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連載記事

有識者よりコメントを頂きました。

2010年7月 お寺の役割

現在、日本における全寺院数はどれほどの数がご存知でしょうか? 30,000ヶ寺?40,000ヶ寺?・・・、 驚くなかれ、実に76,000ヶ寺にも及ぶそうです。 では、この全寺院数と普段何気なく皆様もご利用されているコンビニエンスストアの店舗数と比較すると、はたしてどちらが多いのでしょうか?

これまた驚くなかれ、コンビニエンスストアの全店舗数はおよそ40,000店舗といわれておりますので、コンビニエンスストアよりも全寺院数の方が圧倒的に多いのです。そして、76,000ヶ寺にも及ぶお寺を、約9,000万人の檀信徒の方々が支えているという現状だそうです。 しかし、コンビニエンスストアよりもはるかに多いお寺の数を有しながらも、年間にお寺を訪れる回数はというと・・・。お寺を訪れる回数とコンビニエンスストアを利用する回数を比較すると、比較にならないほどお寺との関わりは少なくなってしまうのが現状です。

もしかしたら、年間を通じてお寺に行った事が無いとお答えになる方もおられるかもしれませんし、除夜の鐘や初詣の時しかお寺に行かないとお答えになる方も多いかもしれません。

倉橋了稔
動物供養協議会 寺院部会長
浄土宗願行寺住職
倉橋了稔
愛知県刈谷市半城土町乙本郷81
http://gangyouji.com

これはなぜでしょう? 「因果応報」という言葉がありますが、これは「過去の原因によって、現在の結果がもたらされる事」という意味の仏教語であります。これに当てはめるのであれば・・・、 「原因」=本来、仏教とは生きていく私たちに向けられた教えであるのですが、その教えを伝える場や、伝えようとする僧侶側の努力が足らなかったから。 「結果」=お寺を訪れる回数が減ってしまった。 と、なるのでしょう。 さらに、コンビニエンスストアとお寺の現状を比較してみるならば、「コンビニエンス」とは「便利。便利なモノ」という意味である様に、24時間いつ訪れても欲しい商品が陳列されている。しかし、お寺には利用したいサービスや魅力ある行事などが乏しい・・・となると、必然的にお寺を訪れる回数は減っていくのです。

だからといって、お寺がコンビニエンス性だけを追い求めても良いということではないのですが、今一度、お寺へ足を運んでいただける「ご縁」を考える時期に来ているのだと私は考えるのです。過去の原因で現在の結果がもたらされたのであれば、未来の結果をより良いものとするために、現在の状況を改善していく必要があるのです。 2500年前にお釈迦さまが説かれた仏教が脈々と現代にまで受け継がれてきたように、今後500年先、1,000年先にも仏教が伝えられていく世にしていくためにも、まさに今、私たち僧侶が何をすべきか?と、真剣に考えなければいけない時期に差し掛かっているのだと私は考えたいのです。 仏の教え自体は何も変わらないし、変えてはいけないものです。

「仏の教え」という商品を、どのように魅力あるディスプレイにして、多くの方々へ宣伝していくか?これがこれからの僧侶とお寺の役割なのかもしれません。

 


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